第32回 桜蝶となられた女性の想い出

投稿日:2018年10月1日

十数年の闘病生活の末、亡くなられた女性の話をFacebookページに投稿(2018/08/11)したところ、非常に多くの方が読んで下さり、反響をいただきましたので、こちらでもご紹介させていただきます。

 

彼女の話を通じて、「逝きかた」を考えていただければと思います。

 

 

彼女とは、指宿のセンターで出逢いました。

十数年前にがんの手術と放射線治療を受け、良くなっていたのですが、数年前に治療した部位に再発。指宿に来られました。

 

放射線治療を経験されていたので、陽子線を使った治療は困難を極めましたが、チーム全員で知恵を絞り、治療計画を立て、治療を行いました。

一旦は良くなったのですが、それから数年して、他の部位に次から次へと転移が確認されましたので、関西の病院で、それぞれの部位に丁寧に放射線治療をしていただきました。

 

私が関西に拠点を移してからも、お母さんと治療の相談に来られ、色々なお話をしました。

お逢いした時、静かに私の話を聞いて、にっこり微笑んだ彼女の顔を今でも思い出します。

 

今春、そんな彼女は、お母さんに宿題を残して静かに天国に旅立ちました。

 

宿題というのは、散骨場所、生前にお世話になった方々への感謝を込めたお礼、資金に苦労している団体・病院十数か所への寄付です。

 

私は、桜蝶がヒラヒラとお花畑で舞っている記念品をいただきました。 

記念品に添えられていたお母さんの手紙で、この蝶が「桜蝶」と名付けられていました。

存在しない蝶の名前ですが、私はとても気に入っています。

 

 

時々これを見て、彼女を思い出し、「より優しい先生になりなさい」と語りかけられているように感じています。

 

明和キャンサークリニックには、他所で診てもらえなかった患者さんが藁にもすがる思いで来院されます。

放射線治療の適応外の方も来院されます。

 

彼らを診察しながらこの記念品を思い出し、以下のような想いで診療に当たっています。

 

治療ができなくても励ますことはできる。

色々アドバイスすることはできる。

 

こうして、桜蝶に見守られている私の診察時間は少しずつ長くなっているようです。

 

 

最近になって、お母さんから葉書が届きました。

10月に西表島の海に、11月に大台ケ原山上に散骨するそうです。

海や山が好きだったお嬢さんの願いが叶います。

 

桜蝶さんとの想い出でした。

合掌

 

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