第13回 一人一人にあった説明

投稿日:2018年1月9日

先日、「がん」という診断がつき、ステージ分類も「ステージ4」と説明を受けた患者さんが遠方から相談にいらっしゃいました。

 

齢40過ぎの若い若い患者さんです。

 

 

お会いする前に、親戚の方から連絡がありました。

事前に聞いていた情報より、この患者さんの場合、まずは抗がん剤治療を受ける必要があることが分かっていました。

そこで「わざわざ来ていただいても、お役に立てそうにありません」とお伝えしたのですが、どうしても会って話を聞きたいとのことで、お会いすることになりました。

 

まず、いつも通り、主治医の先生から説明されている病名や病状について、どれぐらい理解しているのかを聞き、細かい部分まで非常によく理解されていることが分かりました。

会話中は落ち着いている様子でしたが、心の中は不安と葛藤で溢れているように感じました。

 

ゆっくり話を進め、抗がん剤治療の必要性を説明し、大変だが、まずはここを頑張る必要があることを話しました。

また、抗がん剤の治療を受けるにあたって「治る気になること」が大切だと話しました。

 

私の話を聞いても「本当にそうかなあ」と半信半疑の様子でしたが、いろいろな前例を紹介していくうちに、強く治る気を持ってくれました。

 

次に、生活習慣の改善が、がん患者さんには大事であることを伝え、どのような生活習慣を送っているかを聞きました。

特に、若い人には仕事のことを聞きます。

「働きすぎていませんでしたか」と聞くと、忙しいときには徹夜もしていたそうです。

 

私の経験では、若くしてがんになる人には、働きすぎている人が多く見られます。

 

そこで、抗がん剤の治療を始めたら、生活習慣を見直すこと。

特に働き方を見直すようにアドバイスしました。

 

この患者さんの治療の第一歩は、抗がん剤治療です。

まずそれに前向きに取り組んでもらい、その結果によって次のステップに進めます。

患者さんは、そのことを私との会話からよく理解してくれました。

 

 

最後に何か質問はありますかと聞きますと、メモにたくさんの質問事項を書いているのが見えました。

それらを見ながら、

「これらの質問を聞くより、治る気になります!」と力強く語ってくれた姿を見て、前向きに治療を受けるのだと確信しました。

 

患者さんの年齢や考え方、生い立ち、生活習慣は皆異なります。

 

一人一人にあった説明。

こんな当たり前のことが本当に大切であることを、がん治療医として40年以上が経ち、一周回って実感しました。

 

医療の奥は深いです。

関連記事