第11回 粒子線治療と高精度放射線治療のすみわけ (2)

投稿日:2017年12月25日

粒子線治療の経験が20年を越え、そのすばらしさを実感しています。

一方、最近の高精度放射線治療の進歩もすばらしいと、実際それに携わって理解してきました。

 

 

よく「どちらが良いのですか」と聞かれますが、「どちらも良い」というのが最近の印象です。

 

前回、いずれの治療でも最高のチームが一番大切だとお話しました。

ここからは、「最高のチームで行う治療」ということを前提として、明らかに粒子線治療(陽子線や重粒子線での治療)がお勧めであるものをまず提示し、逆に高精度放射線治療(X線での治療)が良いものを考え、すみわけの可能性を検討します。

 

(1)感受性:放射線がどれくらい効果があるか

ある種類のがんでは、X線を照射しても全く効果のないがんがあります。

そのようながんでも粒子線を照射すると治療効果が期待できることがあります。

骨軟部肉腫や耳下腺がんです。

 

(2)部位

X線は体を通り抜けますが、粒子線は体の中で止めることができます。

がんの近くに脳や心臓など、重要な臓器がある場合、高精度放射線治療ではそれらに影響がでます。

したがって、それらの臓器に近い部位にがんがあるときは、治療後のことを考えると、粒子線治療のほうが良いでしょう。

 

(3)がんの大きさ

10cmを超える大きさの肝がんや大きな上顎がんに対して粒子線治療を行い、その治癒過程を見ていると、大きながんに対しては粒子線治療の方が効果があることが分かります。

ただ、がん健診の進歩とともに、そんなに大きながんはなくなってきました。

 

 

 

最高のチームで行う高精度放射線治療でも、X線感受性の悪いがんの治療や重要な臓器近くのがんの治療では、粒子線治療に軍配が上がります。

 

ただし多発脳転移の場合、高精度放射線治療では複数個の腫瘍に治癒線量を照射し、脳内の他部位に予防照射線量を照射することが可能です。

これに関しては、高精度放射線治療に軍配が上がります。

 

高精度放射線療と粒子線治療とすみわけを考え、伝えることも、私の楽しい仕事です。

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