第10回 粒子線治療と高精度放射線治療のすみわけ(1)

投稿日:2017年12月11日

以前にも書きましたが、私は1974年に大学を卒業し、すぐ放射線科に入局しました。

それから今日まで、専ら放射線を使ってがん治療を行って来ました。

 

1994年には大きな転機がありました。

縁があり、当時世界初となる、陽子線と重粒子線の両方を使って治療を行うことができる兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県たつの市)の立ち上げに協力してほしいと声をかけて頂き、兵庫県に世界一の粒子線医療センターを作るべく尽力しました。

センターは2001年に開院し、院長としてセンターの運営を軌道に乗せるべく、患者さんにもスタッフにも優しい医療を目指して奮闘しました。

 

2010年には、鹿児島県指宿市の陽子線治療センターの立ち上げに参画。

がん粒子線治療研究センター(現 メディポリス国際陽子線治療センター)のセンター長に就任し、新しい陽子線治療に取り組んできました。

ここでは、新しい治療方法を発表したり、乳がんに対しての陽子線治療を確立したりと、数々の研究にて成果をあげてきました。

さらには、センターが一つとなり国際基準の安全性と高品質な医療の証「JCI」を取得し、組織力を高めてきました。

また、大地のエネルギー溢れる指宿にある、日本唯一のリゾート滞在型の治療施設として心身を癒せる施設を確立させました。

指宿のセンターはソフト面もハード面も充実した、世界に誇る陽子線治療センターです。

 

2017年には、縁があり高精度放射線治療が行える明和キャンサークリニック(兵庫県西宮市)に異動しました。

放射線治療専門医で、陽子線治療、重粒子線治療、高精度放射線治療を全て経験している医師は全国でも少数だと自負しています。

 

 

最近、高精度放射線治療装置を使い、がん患者さんの治療をしながら、『高精度放射線でのがん治療』と『陽子線・重粒子線でのがん治療』とのすみわけを考えています。

がん治療の臨床では、新しい治療法が出てくると、新しい治療法と古い治療法を比較して、どちらが良い治療法かを決めようとする傾向にあります。

抗がん剤治療の場合、この比較のための臨床試験をするにあたって、厳格な使用基準を作れば多くの施設で同じ治療が行えます。

 

一方、装置を使用して行う放射線治療の場合、この『比較』ということが難しくなります。

装置を『誰が』『どのように』使いこなしているかが大きく影響するからです。

 

 

放射線治療はチーム医療です。

そのため、チームが日常の診療で、装置をいかにメインテナンスし、精度高く使用しているかが治療結果の鍵となり、治療成績に大きく反映します。

 

前回のブログにも書きましたが、すなわちチーム力が非常に大事だということです。

私は、どのチームに入っても、そのチームの監督として、最高のチームを作るように心がけています。

そして、最高のチームで行う粒子線治療や高精度放射線治療では、それぞれの装置での特徴を発揮することが出来ます。

 

それぞれの特徴を見ていると、粒子線治療と高精度放射線治療で行う医療は、すみわけが可能であると考えます。

それぞれの装置の特徴については、今後のブログで取り上げますのでお待ち下さい。

 

素晴らしい装置を使いこなす為には、素晴らしいチーム作りから。

これからも、患者さんにもスタッフにも優しい幸せな医療を提供してまいります。

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