第74回 ハイパーサーミアを始めて1年が過ぎました
投稿日:2020年7月6日
2019年4月より高周波温熱療法(ハイパーサーミア)を明和キャンサークリニックでも開始しました。
温熱療法を受ける患者さんの多くは、がんのステージIVなので、すでに化学療法や免疫療法をしています。
保険診療としては、8回の治療後、1月間の休止期間をおくのを1クールとして、継続ができます。すでに5クール目に入る患者さんも複数います。
開始当初は、1か月の新患は約20名で、新患で来られたらすぐ治療ができたのですが、2クール以上の治療をしている患者さんが増加するにつれて、すぐの治療ができなくなり、現在は約1月待ちの状況です。
温熱療法の初診では、説明文書を用いて治療の目的を説明します。
( 1 ) 42.5℃以上の高温でがん細胞が死んでいく
( 2 ) 放射線治療や抗がん剤治療の効果を高める
( 3 ) がんと闘う「免疫力」を高める
また、手術や放射線治療と違い、画像的にすぐ変化が出ないことを説明します。そして手術や放射線治療は、がんを治す治療であるのに対し、温熱療法は、がんと仲良くする治療であると話します。
それほど多くの患者さんを治療したわけではありませんが、前述の(1)の患者さんも経験しています。
4クール、5クールと治療をしている患者さんの中に、肝臓や肺の腫瘤が画像的に縮小している例や、多発肺転移の患者さんのがんの数が増えず、大きさも変わらないでおとなしくなっている例もあります。
このような患者さんの加温状況を調べると、非常に高い温度まで加温されていることが多いです。
多くの患者さんは化学療法を受けており、(2)のようにハイパーサーミアを併用することで効果が高まる方もいます。
(1)、(2)に関しては十分加温された患者さんに見られます。
患者さんによっては、加温することで痛みが出て十分加温できない方もいます。しかし、そのような患者さんの中には、食欲が出て体調が改善する方もいらっしゃいます。
確かに「免疫力」が上がっているようです。
治療経験はまだまだですが、今のところ「効く人には非常によく効く治療」という印象です。