第6回 治る気持ち

投稿日:2017年10月16日

私が大学病院で勤務していた時、化学療法が効かなくなった転移性肺がんの女性に放射線治療を行ったことがあります。

病気の状況から完治させることは難しく、進行を遅らせる目的で放射線治療を行い、治療後、月に1回の診察で経過を診ていました。

彼女と初診時に話した時、「小学生の子供がいます。その子が高校生になるまでの数年間は見てやりたいのです」と言われました。

 

治療を開始して、経過を診ていると、不思議なほど、がんがおとなしくなりました。

それから数年後、お子さんが高校生になった頃、病状が悪化し、彼女は亡くなられました。

 

時々、このように目標を設定し、医学の常識を超越し、目標を達成される患者さんに出会います。

このような方々を見ていると、「がん治療」と「気持ち」には密接な関係があるのではないかと考えずにはいられません。

 

 

陽子線治療の講演後に、「来週手術をするのですが、上手くいかなかったら、陽子線治療ができますか」と質問される方がいます。

手術を受ける前から失敗することを考えていることに驚かされます。

 

がん治療で大切な事は、セカンドオピニオンなどを利用し、よく考えて治療法を選択することです。

次に大事なことは、自分が選んだ治療で治る気持ちになることです。例えば、手術を選択したら「必ず手術で治る」という強い気持ちを持つことです。

 

結果として、上手くいかなかったら、その時点で医師とともに次の手を考えましょう。

手術する前から失敗することを考えるのは間違っています。

 

 

「失敗したビジョンを描くことで、失敗をする」といったことが多くの本に書かれています。

これは、がん治療にも当てはまります。

考えて納得した治療を受けるとなったら、「自分が選んだ治療で治る気持ち」になりましょう。

 

がんを治す第一歩は、「治る気持ち」を持つ事です。

関連記事