第42回 不思議な病気がん:がん患者になる
投稿日:2019年2月25日
多くのがん患者さんは、「がん」と宣告されるまでは、がん が体内にあったとしても普通に生活をしています。
検査を受け、「がん」と宣告された日から、「普通の人」から「がん患者」になってしまうのです。
人間は、心と体からできています。
転んで血が出たような場合、体に傷はできますが、心に大きな影響はありません。
一方、がん はどうでしょう。
がんの告知を受けた患者さんを見ていると、その前後で心に強く影響があることが分かります。
体に「がん」があったとしても、そのことを知らない時は普通に生活ができますが、心が「がん」を知ることで生活が一変します。
近年、がん治療の進歩で、がんは治る可能性が高い病気となりました。
しかし、体の「がん」が治った患者さんの中には、心の「がん」を持続する方がたくさんいらっしゃいます。
心の「がん」 は、人間を常に不安な状態にさせます。
私は「ネガティブ思考」「くよくよ思考」は、大きな“がんの危険因子(リスクファクター)”であると考えています。
「がん」への執着心を取ることは、がんの治療にとって非常に重要な心の治療です。
「再発や転移が起こるのでは」「それはいつごろだろう」などと考え、常に未来に対して不安な考えで生きることを止めるよう、患者さんにアドバイスをしています。
不安の90%以上は起こらないと言われています。
起こってほしくないことが起こったときには、主治医とともに解決できる方法を考えれば良いのです。
未来の医療は今よりも進んでいます。
不安な気持ちで未来を想像する代わりに、私は患者さんに、「一日を楽しく生きること」を勧めています。
さあ、今日も楽しく生きましょう!