第27回 指宿での治療希望

投稿日:2018年7月23日

今回は、おなかの中にできたがんを手術した後に、再発をした患者さんのお話です。

診てもらっている外科の主治医からの診療情報提供書に目を通すと、手術後順調に経過していたようですが、しばらく経って再発が確認されました。

現在は主におなかの中のリンパ節に多数の転移が発生している状況です。

 

初診で、ご本人と2人のお子さんと会いました。

いつも通り、相手の確認をしてから、私の名前を言って挨拶をしました。

 

以前から、がん関係の保険に加入しており、保険会社に相談したところ「陽子線治療に使える保険ですよ」と言われて相談に来たそうです。

 

いくつか質問をして、病状については良く理解できていることがわかりました。

そして、「保険会社から教えてもらった陽子線治療を是非うけたい!」と強い希望を持たれていました。

 

どうやら、陽子線治療は最新の治療で、どんながんにも効果がある革新的な治療であると思い込んでいる様子です。

 

 

持参された画像を診ると、主治医の報告どおり、おなかの中に小さな転移が多数あります。

 

陽子線治療は転移したがんにも適応されるのですが、その場合、転移の数は1~2個、あまり小さすぎるものに対しては不向きです。

(大きさは2cm以上でも問題なく行える場合が多いです)

 

今回の場合は多発で大きさの小さなものばかりでしたので、

「治療をするとしても、陽子線で狙う相手が小さすぎるため難しく、多発しているので、今すぐの治療は出来ません」とお伝えしました。

 

続けて、「化学療法をすれば、効果が期待できますよ」と説明して、化学療法の作用や効果などを理解、納得してもらいました。

 

「まず3か月ぐらいは化学療法を受けて下さい。その結果、どうしても残っているところがあれば陽子線治療を一緒に検討しましょう」とお話しして、この日のセカンドオピニオンを終えました。

 

 

それから3か月が経ち、外科医からバトンタッチした腫瘍内科医の主治医から再診の依頼がありました。

初診と同様、ご本人と2人のお子さんが再診に来られました。

 

開口一番、「先生の話を聞いて化学療法をうけました。これで指宿に行けますね! 指宿での治療期間を楽しむために、絵を描くための道具を買い揃えました」とお話しして下さいました。

 

腫瘍内科医の報告と画像に目を通すと、化学療法が非常に良く効いているようです。

そこで、

「ものすごく上手に化学療法されており、陽子線治療をする相手が見当たらない状況です。指宿には今すぐ行く必要はないので、家の近所で絵を描いてください」

と伝えると

「えええー」と驚かれました。

 

 

それから少し話しをして、化学療法を続けてもらうように主治医に返事をしました。

 

また半年後に検査をする予定ですが、その結果、陽子線治療が必要ないようでしたら、保険に頼らず、家族で指宿に遊びに行くよう  勧めて、私の診察は終了しました。

 

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