第16回 「だから教えません」

投稿日:2018年2月19日

ある日の診察風景。

 

[Dさんの場合]

80を超えたおじいちゃんですが、まじめで病気のこともよく勉強しています。

放射線治療についても、照射期間中の放射線による影響をよく知っており次のように質問されました。

「照射期間中に出てくる症状について、3週目にどのようなことが起こるか具体的に教えて下さい」

 

以下が私の回答です。

「まじめで勉強熱心な患者さんからは、よくそのような質問を受けます。

例えば、3週目に70%の人に起こる症状があるとしましょう。
それを私が伝えると、3週目にはその症状が起こると思い込み、本当にそうなります。

 

だから教えません。

 

ただ、毎日の変化の中で、昨日と違う変化があれば、必ず看護師や医師に伝えてください。

適切なタイミングで、適切な対処をします」

 

多くの日本人は、他人と違うことを嫌います。

どうもその性格が、放射線治療を受ける患者さんにも出てくるようです。

 

 

 

[Cさんの場合 (2)]

前回にもご紹介した元パイロットのCさんの治療も半分が過ぎました。

 

日常の問診では「特に変化がない」とのことなので、偏西風での飛行について質問をしました。

非常に楽しそうに、追い風、向かい風の飛行について、私でもわかるように話して下さりました。

 

また、別の日に、強風の中の着陸を聞き、ウイング・ローという技術があることを知りました。

この方と話をすると、本物のプロとはどうであるべきかがよくわかります。

飛行に関して素人の私の質問に対し、真摯にわかりやすく説明してくれます。

 

私も患者さんに治療や病気の説明をする時には、わかりやすく話すよう心がけていますが、さらにわかりやすく話せるよう努力しようと思わされます。

 

診察を通して、日本人の性格が診療に影響していることを感じるとともに、本物のプロの姿を見ることができた一日でした。

 

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